マルクス晩年の歴史認識と21世紀社会主義

青柳和身(岐阜経済大学名誉教授)著
マルクス晩年の歴史認識を手がかりに、20世紀史と資本主義生産様式の理論を見直して、脱階級社会へのシステム改革を展望する。
労働力再生産強制様式が、階級社会と資本主義の形成・存立の基盤!
- A5判/上製/248頁
- 本体3000円+税
- ISBN978-4-905261-49-0
- 初刷:2021年10月8日
編者の言葉
目次
- 序文
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第1部 マルクス晩年の歴史認識の発展
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第1章 問題の所在:20世紀という時代とマルクス晩年の歴史観
- 1 20世紀という時代をめぐる問題状況
- 2 マルクスとエンゲルスの思想にたいする多様なスタンス
- 3 『資本論』の論理の内的矛盾とマルクス晩年の歴史観の発展
- 4 本書の課題と検討方法
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第2章 「ザスーリッチへの手紙」の歴史認識の現実性と非現実性
- 1 「ザスーリッチへの手紙」をめぐる論争
- 2 福冨正美氏の報告
- 3 日南田静真氏のコメントと福冨正美氏のリプライ
- 4 「ザスーリッチへの手紙」のロシア・ソビエト史にとっての現実性と非現実性
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第3章 マルクス晩年の家族認識と歴史観:個人的所有と私的所有との峻別
- 1 「農耕共同体」概念の成立と『資本論』の問題点
- 2 『古代社会』研究による階級社会への移行過程認識
- 3 財産所有形態転換の性格と要因:個人的所有と私的所有との歴史的峻別
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第4章 『資本論』における「私的所有」論と歴史認識の再検討
- 1 『資本論』の「私的所有」論と歴史認識の問題点
- 2 マルクス晩年の歴史認識と未開社会にかんする現代の諸研究
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第1章 問題の所在:20世紀という時代とマルクス晩年の歴史観
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第2部 20世紀史の再検討と21世紀社会主義
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第5章 資本主義生産様式の長期的存続力と労働者家族
- 1 『資本論』における労働者家族論の問題点
- 2 労働者家族の歴史的性格
- 3 労働者家族の歴史的動向と資本主義的生産の発展
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第6章 ソビエト型経済の歴史的性格
- 1 ソビエト型経済の史的唯物論による再検討課題
- 2 ソビエト経済における「家族の強化」と人口再生産
- 3 ソビエト経済における剰余価値生産体制の確立
- 4 ソビエト経済における労働市場と資本蓄積様式
- 5 財の二分割所有体制の矛盾とソビエト型経済発展の生産力的条件の終焉
- 第7章 ソビエト型集団主義の地理的影響力とその限界
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第8章 労働力再生産様式の変革による21世紀社会主義:生産手段フェティシズムを超えて
- 1 ベーシック・インカム構想の登場と『資本論』
- 2 生産手段の再生産と労働力の再生産の史的再検討
- 3 労働力再生産様式の変革による21世紀社会主義と変革主体
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第5章 資本主義生産様式の長期的存続力と労働者家族
- あとがき
- 本書に寄せて 田中 宏(立命館大学特任教授)
- 参考文献リスト
著者
青柳和身(あおやぎ・かずみ)
岐阜経済大学名誉教授
主著- 『ロシア農業発達史研究』御茶の水書房,1994年
- 『フェミニズムと経済学(第二版)』御茶の水書房,2010年
晩年のマルクスは、モーガン『古代社会』の研究をとおして、生産様式転換の基礎には次世代再生産様式の転換があるという歴史観を獲得した。本書はこの視点による人類史の再検討である。