マルクスの恐慌論:久留間鮫造編『マルクス経済学レキシコン』を軸に

大谷禎之介・前畑憲子=編
久留間鮫造・大谷禎之介・前畑憲子・小西一雄・宮田惟史=執筆
『資本論』をどう読むか、どう読んではいけないか!
マルクスによる恐慌・産業循環の理論的展開を精彩かつ精緻に跡づける。
- A5判/上製/772頁
- ISBN978-4-905261-43-8
- 本体8600円+税
編者の言葉
目次
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第1部 『マルクス経済学レキシコン』恐慌篇を編む
- 第1章 『マルクス経済学レキシコン』「恐慌I」をめぐって(大谷禎之介)
- 第2章 『マルクス経済学レキシコン』「恐慌II」の編集にあたって(久留間鮫造)
- 第3章 『マルクス経済学レキシコン』「恐慌III」の編集にあたって(久留間鮫造)
- 第4章 『マルクス経済学レキシコン』「恐慌IV」の編集にあたって(久留間鮫造)
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第2部 マルクスによる恐慌・産業循環の理論的展開を跡づける
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第1篇 資本の流通過程における恐慌の可能性の発展
- 第5章 高田博士の蓄積理論の一考察(久留間鮫造)
- 第6章 高田博士による蓄積理論の修正(久留間鮫造)
- 第7章 「内在的矛盾」の問題を「再生産論」に属せしめる見解の一論拠について(大谷禎之介)
- 第8章 恐慌論体系の展開方法について(1)(久留間鮫造)
- 第9章 資本の流通過程と恐慌(大谷禎之介)
- 第10章 恐慌論体系の展開方法について(2)(久留間鮫造)
- 第11章 『資本論』第2部第3篇の課題と恐慌論との関連についての一考察(前畑憲子)
- 第12章 「betrachtenすべき」は「再生産過程の攪乱」か「第3部第7章」か(大谷禎之介)
- 第13章 再生産論と恐慌論との関連をめぐる若干の問題について(大谷禎之介)
- 第14章 「単純再生産から拡大再生産への移行」についてのエンゲルスの書き入れをめぐって(前畑憲子)
- 第15章 いわゆる「拡大再生産出発表式の困難」について(前畑憲子)
- 第16章 「ではけっしてない(nie)」か「でしかない(nur)」か(大谷禎之介)
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第2篇 資本主義的生産の矛盾と恐慌
- 第17章 利潤率の傾向的低下法則と恐慌(前畑憲子)
- 第18章 「利潤率の傾向的低下法則」と「資本の絶対的過剰生産」(前畑憲子)
- 第19章 利潤率の傾向的低下法則と恐慌(前畑憲子)
- 第20章 『資本論』第3部第3篇草稿の課題と意義(宮田惟史)
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第3篇 信用と恐慌
- 第21章 「マルクス信用論」における草稿研究の意義(小西一雄)
- 第22章 マルクス信用論の課題と展開(宮田惟史)
- 第23章 『資本論』の恐慌・信用の理論と現代(小西一雄)
- あとがきにかえて(前畑憲子)
- あとがき(大谷禎之介)
- 「学問的に、だからまた実践的に」:追悼 大谷禎之介先生(前畑憲子・小西一雄・宮田惟史)
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第1篇 資本の流通過程における恐慌の可能性の発展
執筆者紹介
久留間鮫造(くるま・さめぞう)
- 1893年生まれ
- 大原社会問題研究所所長(1949〜1966年)
- 法政大学名誉教授(1964〜1982年)
- 1982年10月20日死去
大谷禎之介(おおたに・ていのすけ)
- 1934年生まれ
- 国際マルクス=エンゲルス財団編集委員(1992〜2019年)
- 経済理論学会代表幹事(2001〜2007年)
- 法政大学名誉教授(2005〜2019年)
- 2019年4月29日死去
前畑憲子(まえはた・のりこ)
- 1947年生まれ
- 立教大学名誉教授
小西一雄(こにし・かずお)
- 1948年生まれ
- 立教大学名誉教授
- 東京交通短期大学名誉教授
宮田惟史(みやた・これふみ)
- 1983年生まれ
- 駒澤大学経済学部准教授
本書によって、久留間のマルクス恐慌論理解がどのようなものであり、科学的遺産としてどのように受け継がれる可能性をもっているか、ということが一望できるようになった、と編者たちは確信している。と同時に、本書を通じて読者は、マルクスが恐慌をどのように見ており、『資本論』で恐慌をどのように解明したのか、ということもまた、よく読み取られることであろう。
2019年4月4日 大谷禎之介