マルクス抜粋ノートからマルクスを読む:MEGA第W部門の編集と所収ノートの研究 大谷禎之介(法政大学名誉教授)・平子友長(一橋大学教授)編
社会と自然への飽くなき好奇心と探究心を刻むノート
マルクスの知的営為を作業現場でまぢかに体験する!
MEGAは刊行中の完全版マルクス・エンゲルス全集(120巻)。
- A5判/上製/368頁
- ISBN978-4-905261-14-8
- 本体4700円+税
- 初刷:2013年10月1日
編者の言葉
目次
- はしがき(大谷禎之介)
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第1部 マルクス研究におけるMEGA第IV部門の意義と所収諸巻の編集作業
- 第1章 MEGA第W部門での研究用サブ資料の編集につい(リヒャルト・シュパール)
- 第2章 MEGA第IV部門第18巻の編集作業について(大谷禎之介・佐々木隆治)
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第2部 抜粋ノートと草稿とが奏でるカノンによる知の深まり
- 第3章 どのようにしてひとつの理論が姿を現わしたか:1844年に書かれた諸草稿および抜粋ノート(ユルゲン・ローヤーン)
- 第4章 「1861-63年草稿」における「追補」と抜粋ノートとの関連について(森下宏美)
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第3部 抜粋ノートに見るマルクスの経済学研究
- 第5章 なぜ労働価値説の父がフランクリンからペティに変わったのか:転換点としての1863年のペティ『租税貢納論』閲読(ヤン・ホフ)
- 第6章 1860年代中葉におけるマルクスの地代論研究:同時期の抜粋ノート,「1861-1863年草稿」,『資本論』第3部第6篇の対比による解明(竹永 進)
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第4部 抜粋ノートに見るマルクスの歴史研究
- 第7章 マウラーの〈マルク共同体〉研究とマルクス(浅川雅己)
- 第8章 マルクスのマウラー研究の射程:MEGA第IV部門第18巻におけるマルクスのマウラー抜粋の考察(平子友長)
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第5部 抜粋ノートに見るマルクスの自然研究
- 第9章 マルクスの「化学諸草稿」と地質学・鉱物学・農芸化学抜粋(アネリーゼ・グリーゼ)
- 第10章 フルーベク『農学大観』からの抜粋について(ロルフ・ヘッカー)
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第6部 抜粋ノートに見るマルクスの日本研究
- 第11章 マルクスの「日本研究」の典拠について:MEGA第IV部門第18巻「抜粋ノート・メモ」から(天野光則)
- 第12章 マルクスのヘルマン・マローン抜粋に寄せて:1860-62年来日のプロイセン農業専門家マローン(ロルフ・ヘッカー)
- あとがき(平子友長)
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付 録
- 付録1 MEGA第IV部門各巻に収められるマルクスのノート
- 付録2 MEGA第IV部門第18巻目次
執筆者(執筆順)
- 大谷禎之介(Prof. Dr. Teinosuke Otani)(編者、はじめに、第2章、第5章)
1934年生 法政大学名誉教授 - 平子友長(Prof. Tomonaga Tairako)(編者、第8章、あとがき)
1951年生 一橋大学大学院社会学研究科教授 - リヒャルト・シュパール(Dr. Richard Sperl)(第1章)
1929年生 元マルクス・エンゲルス研究所(ベルリン)所員、元MEGA編集委員会委員、MEGA編集者(IV/32その他) - 佐々木隆治(ao. Prof. Dr. Ryuji Sasaki)(第2章)
1974年生 立教大学経済学部准教授 - ユルゲン・ローヤーン(Dr. J?rgen Rojahn)(第3章)
1941年生 元社会史国際研究所所員、元国際マルクス=エンゲルス財団事務局長 MEGA編集者(IV/27) - 森下宏美(Prof. Hiromi Morishita)(第4章)
1955年生 北海学園大学教授 - ヤン・ホフ(Dr. Jan Hoff)(第5章)
1980年生 インスブルック大学講師 - 竹永 進(Prof. Dr. Susumu Takenaga)(第6章)
1949年生 大東文化大学教授 - 浅川雅巳(ao. Prof. Masami Asakawa)(第7章)
1965年生 札幌学院大学准教授 - アネリーゼ・グリーゼ(Prof. Dr. Anneliese Griese)(第8章)
1936年生 元フンボルト大学教授,MEGA編集者(I/26、 IV/26、IV/31) - ロルフ・ヘッカー(Prof. Dr. Rolf Hecker)(第10章、第12章)
1953年生 元マルクス・エンゲルス研究所(ベルリン)所員
MEGA編集者(II/6、 II/8、II/12、II/13、 ベルリンMEGA刊行促進協会事務局長 - 天野光則(Prof. Mitsunori Amano)(第11章)
1939年生 千葉商科大学名誉教授
自然とその歴史、社会と人間の歴史、つまりは人間諸個人にとっての対象である世界の一切のものにたいする強烈な好奇心と知識欲とをもち続け、自由な諸個人が自覚的に形成する未来社会のために最後まで闘い抜いた、知と行動の巨人の営みの記録、それがMEGA第IV部門所収の抜粋ノートである。(大谷禎之介)
抜粋ノートを視野に入れたマルクス研究は、21世紀の世界のマルクス研究の大きな課題である。(平子友長)